川辺修作_入園・入学の季節に寄せて

 春は新たなスタートの季節です。そこで入園・入学を迎える子どもさんを持つ保護者の皆様にお伝えしたいことをまとめてみました。新しい生活を始める子どもたちとより良い関係を作るために活かしていただければ幸いです。

 

認定カウンセラー 川辺修作 


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 保育園・幼稚園入園 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

  保育園や幼稚園に入園する幼児をお持ちの親御さんは、子どもがうまく親から離れて、園での生活に慣れることができるかどうかを心配されておられることと思 います。私の元には、「子どもが園に行きたがらずに困っているが、どうすればよいか」という相談が寄せられることがあります。よく聴いてみると、子どもに とって特に園の生活で嫌なことはないという場合が多いように思われます。大抵の場合に子どもは、「園に行きたくない」と言うのですが、その言葉には「お母さんから離れたくない」と いう気持ちが隠されています。そのような子どもを無理に親から離して園での生活に慣れさせればその子の社会性が育つかというと、実はそうではありません。 子どもはまず信頼できる養育者との関係をしっかり作らなければ、他の人との関係に入っていくことができないのです。「行きたくない」という言葉が語られた らその気持ちを受け止め、できるだけお母さんにくっつけて、子どもの甘えたい気持ちを満たしてあげて欲しいと思います。このことは新入園児に限らず、それ以上の年齢の子どもにも当てはまります。

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 小学校入学 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

  小学校に入学する児童をお持ちの親御さんには、子どもがいよいよ本格的な社会に入ったことを覚えておいていただきたいと思います。クラスの仲間たちとの関 係を通して、人間社会で生きるための土台となる経験を積む時期が始まります。子どもは仲間たちとの活動を楽しいと感じることもあれば、けんかをして苦しむ こともあるかもしれません。人として様々な感情を体験しながら、どうすればうまく友達と関わっていくことができるかを模索する時代であると言えるでしょ う。子どもが学校での出来事を話してくる時には、よく聴いてあげて欲しいと思います。子どもが困っていることについてアドバイスや指示を出す前に、子ども が何を体験してどのような気持ちを味わったのかを充分に聴いてあげて欲しいのです。自分の話を聴いてもらうことで子どもの心は落ち着き、明日も学校で頑 張ってみようという気持ちになることができます。


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 中学校入学 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

  子どもが中学生になる親御さんには、第二次性徴期を迎えて心身のバランスが悪くなることを理解していただきたいと思います。子どもたちは不安や苛立ちを感 じることが多くなり、気心の通じ合う仲間と行動するようになります。親離れの時期でもあり親に対して反抗的な態度を示すことがある一方で、甘えてくること もあるという理解しにくい時期でもあります。思春期の心の大きなテーマは親からの自立を達成することですが、親離れは不安を伴うプロセスでもあるのです。 話しかけてくる時にはよく聴いてあげることを心掛けながらも、子どもの自己決定を尊重して自立への道を歩ませてあげていただきたいと思います。子どもたち が人間的に成熟していくためには時間が必要です。子どもと良い関係を維持しながら、その成長を焦らずに待っていてあげることが大切なのです。
 

 

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